現在開催中の大地の芸術祭通年プログラム「越後妻有 2025 夏秋」(2025.7.19~11.9)。
作品の展示場所は、美術館や廃校、屋外など多岐に渡りますが、ぜひ訪れていただきたい作品が「空き家」を使った作品です。

Photo Nogawa Kasane
地元住民が協力して制作されたものが多く、今回のプログラムでは10カ所ほどの空き家作品をご覧いただけます。(作品により公開日が異なるので注意が必要です。)
背景にあるものとは
大地の芸術祭では、地域に点在する「空き家」をアート作品として再生する取り組みが行われています。人口減少や過疎化が進む中、使われなくなった空間に新たな意味を吹き込み、人々の記憶や風景を継承する場としてよみがえらせています。
空き家作品は、「地域とアートが共存する」大地の芸術祭の神髄を感じさせる作品たちです。

Photo Nogawa Kasane
空き家作品を中心にアートを巡る
そんな空き家作品の魅力に気づいたら、ぜひ現地に足を運んでください。その空間に足を踏み入れないと感じることのできない、空気感がここにはあります。
このページでは、「越後妻有 2025 夏秋」でみることができるおすすめの空き家作品をご紹介します。(尚、空き家作品は公共交通レンタカーや自家用車のご利用がおすすめです。)
■アントニー・ゴームリー「もうひとつの特異点」

Photo Miyamoto Takenori+Seno Hiromi
二ツ屋という小さな温泉地の集落にある空き家作品で、2009年に制作され、長く愛される人気作品の一つ。
一歩足を踏み入れると、黒光りする壁、床、天井から張り巡らせられた682本のコードに圧倒される。
規則的なようで不規則な空間は、シンプルでありつつ惹きこまれる特異な空間が広がります。
【公開日】2025年7月19日(土)~8月31日(日)の土日祝日
【公開時間】10時00分~17時00分
【個別鑑賞料】一般400円、小中学生200円(「越後妻有 2025 夏秋 共通チケット」でも鑑賞が可能)
【アクセス】
越後湯沢駅からは国道17号 と 県道76号 経由、車で約45分
十日町駅からは国道117号と県道82号 経由、車で約15分
■石松丈佳「楽暮 D.I.Y.の家 iju」
まつだい駅から車で山道を進むこと約10分。集落の暮らしや移住に興味をもつ方に向け、D.I.Yをキーワードに地域の人との出会いやこの土地ならではの食や集落行事とあわせたイベントを通じて魅力を発信しています。
昔ながらの雰囲気を残す室内には大工道具が並び、若者が集うことで新たな風が吹きこむ。ここでの暮らしを想像してしまうような居心地の良さを感じるかもしれません。
【公開日】2025年8月2日(土)、 3日(日)、9日(土)、10日(日)、11日(月)、16日(土)、17日(日)、23日(土) 、24日(日)、30日(土)、31日(日)
【公開時間】10時00分~17時00分
【個別鑑賞料】一般400円、小中200円(「越後妻有 2025 夏秋 共通チケット」でも鑑賞が可能)
【アクセス】
越後湯沢駅からは国道17号 と 国道353号 、県道426号経由、 車で約60分
十日町駅からは国道253号と県道12号、県道426号 経由、車で約30分
▼併設の「カフェいじゅ」もおすすめ!
楽暮D.I.Y.の家ijuに併設される期間限定のカフェ。地域の人々と来訪者の方々の交流の架け橋をめざし、学生たちによるカフェ運営を行っています。田野倉で採れたおいしい食材を召し上がれ!
■うぶすなの家

Photo Nakamura Osamu
作品兼レストランとなっている茅葺きの民家。日本を代表する陶芸家による作品が部屋ごとに存在感を放ち、提供される料理の器もまた陶芸家によるもの。集落のお母さんたちの笑顔とおしゃべりも人気で、いつまでも何度でも行きたくなる不思議な魅力があります。お母さんたち元気かな?と気にかけてしまう、本当のおばあちゃんちのような場所です。

Photo Yanagi Ayumi
【公開日】2025年7月19日(土)~11月9日(日)の土日祝日
【公開時間】11時00分~16時00分(ランチ11時00分~14時00分)
【個別鑑賞料】一般400円、小中学生200円(「越後妻有 2025 夏秋 共通チケット」でも鑑賞が可)
【アクセス】
越後湯沢駅からは国道17号 と 国道253号 、国道117号、県道506号経由、車で約60分
十日町駅からは国道117号と県道506号経由、車で約25分
■塩田千春「家の記憶」
室内に長さ4km以上の黒い毛糸が縦横無尽に張り巡らされている作品です。地元の人から集めたというかつて使われていた生活道具などが編み込まれており、作家さんが集落の方と一緒に2週間ほどかけて制作したそう。特に雪深い地域にありながらも大切に管理されています。地元の方が受付にいたらぜひ会話を楽しんでみてください。面白い話が聞けるかもしれません。
【公開日】2025年7月19日(土)~11月9日(日)の土日祝日
【公開時間】10時00分~17時00分(10月以降は16時まで)
【個別鑑賞料】一般400円、小中学生200円(「越後妻有 2025 夏秋 共通チケット」でも鑑賞が可能)
【アクセス】
越後湯沢駅からは国道17号 と 国道353号 経由、車で約45分
十日町駅からは国道253号と国道353号 経由、車で約35分
交流を通じて「地域を知る」こと

Photo Kanemoto Rintaro
空き家作品には作品の世界観や空間の生み出す空気感など、そこでしか味わえない魅力があります。
それに加え「大地の芸術祭」では、そこに携わる「人」や「地域」に触れることで見えるもの、 感じることもあります。
是非、作品に立ち寄ったら作品以外にも少し視野を広げてみてください。
・受付のスタッフや地域の人と話してみる
・建物自体に興味を持って見てみる
・ここでどんな暮らしがあったのか、思いを馳せてみる
きっと、新たな出会いがそこにはあるかもしれませんよ。
▼十日町市で “心とけあう” 体験を
地域で生じる空き家問題に「アート」の息吹を与えることで、新たな意味と交流を生み出す空き家作品は、まさに「アートと暮らし」の共存を体現している作品。
空き家のままでは地域にとってマイナスな面が多くなってしまうけれど、それが人と人とが交わる「場」となることで生まれる価値があります。そんな地域の一面に触れてみませんか。