春が来る。

降り積もった雪が陽光に照らされ静かに解けはじめ、したたる水滴が土に染み入り、大地をうるおす。
うるおった大地からは、やがて小さな芽が顔を出す。

雪が消えるころになれば人々は山に分け入り、親や祖父母がそうしたように、その芽──山菜を摘む。

時代を遡れば、日本最古の歌集・万葉集の最初を飾る象徴的な第一番歌に、野に出て「菜」を摘む人が歌われている。
更に遡れば、採集生活をしていた縄文時代にも、山菜を食べていたとする痕跡が見つかっている。

原始的でありながら、今なお愛されている食材。
それが、山菜だ。

十日町市と山菜

屈指の豪雪地として知られる新潟県十日町市で食される山菜は多種多様だ。

ふきのとう、やまうど、こごみ、たらの芽など全国的に知られているものがあれば、あんにんご(ウワミズザクラのつぼみ)や木の芽(あけびの新芽)など新潟県近域でしか食されていない山菜もある。

あんにんご。地元民でも滅多に食べる機会がない

4月の半ばになっても雪が残る十日町市では、春に収穫できる食物には限りがある。
そのため、ここで暮らす人々にとって、雪解けとともに採集できる山菜は春の食材としてとても身近な存在だ。

また、この地域の山菜は、他の地域と比べ苦味が少なく食べやすいという。
おそらく、残雪による低気温や豊富な雪解け水が、食べやすくおいしい山菜を育んでいるのだろう。

備蓄の食材を切らさないよう少しずつ消費し、乗り切った長い冬。
寒さに耐え、やっと迎えたうららかな春。

山菜は、約4,000年前から今に至るまで、十日町市の「春の訪れ」を象徴する存在だ。

山菜を採ってみる

里山の人々は、自分が所有する野山や田んぼのあぜに生えた山菜を採集する。それは畑で実った野菜を収穫するのと同じように、日々の暮らしに根付いている。

新潟県十日町市では、地元民以外も気軽に山菜摘み体験を楽しめる山菜園や採集プログラムがある。

山々に残る残雪を横目に、広い野山から小さな新芽を探しだす体験は、雪国に暮らす人々が世代を超えて感じてきた冬の終わり、春の始まりへのよろこびを私たちにも感じさせてくれる。

魚沼山菜農園
十日町駅から車で約10分の好立地にある山菜農園。山菜採りの名人が採り方を教えてくれる。

あてま 森と水辺の教室 ポポラ
「【雪国の山菜フキ・ワラビを採る】旬の山菜採り」
あてま高原リゾート ベルナティオ内で開催される体験プログラム。収穫地までは車両で移動するので、子連れでも安心して参加可能。


HOME HOME NIIGATA(ツアー会社)
「【山菜体験】春の息吹を感じる 山菜採りアドベンチャー(ランチ付き)」
起伏のある野山を登り、地元民さながらに山菜を探せるプログラム。採りたての山菜を使った料理体験までツアー内容に含まれている

うぶすなの家(大地の芸術祭施設)
「地元のお母さんが案内! 揚げたて天ぷらを味わう山菜収穫体験」
「大地の芸術祭」春プログラムの体験イベントのひとつ。地元のお母さんと集落を歩いて山菜を採り、自分たちで天ぷらを揚げながら山菜づくしのランチを楽しめる。

やわらかな陽光、頬を撫でる風。
春の気配を全身で感じながら摘んだ山菜は、大地の恵みそのものだ。

十日町市に来たなら、ぜひ、五感で山菜を楽しんでみてほしい。

関連リンク

食べる・着る・採る!山菜の楽しみ方【新潟県十日町市】